与那国語の形容詞1
琉球諸語全般にそうだと思いますが、与那国語の形容詞も語根に「ある」を意味するanがついてできています。なので、その活用は不規則動詞anの活用に準じます。後に説明する動詞の活用は複雑の極みですが、形容詞はその由来から活用が1パターンしかなく、単純です。
例えば形容詞guman(小さい)は、語根gumaに補助動詞anがついて、guma-anとなり、真ん中のaが重なってgumanとなっています(guma-nとするかgum-anとするかはどちらもありうると思いますが、一応guma-nとしておきます)。あえて直訳するなら「小ささあるー小さる」とでもなるのでしょうか?
さて、これがいろいろ変化します。
まずは「小さいー小さくないー小さかったー小さくなかった」
小さい guma-n
小さくない guma-minu-n
小さかった guma-ta-n
小さくなかった guma-minu-ta-n
minuは形容詞の否定を、taは過去を表します。従って語根をXとすると、
~い X-n
~くない X-minu-n
~かった X-ta-n
~くなかった X-minu-ta-n
となっているわけです。このXの部分に、形容詞に応じていろいろ語根を入れれば、派生形が作れます。別の形容詞mucikasan(難しい)を見てみましょう。
難しい mucikasa-n
難しくない mucikasa-minu-n
難しかった mucikasa-ta-n
難しくなかった mucikasa-minu-ta-n
ちなみに、形容詞は見かけの上では動詞なので、状態動詞とも言います。そういえば、韓国語の動詞もそうですね。