与那国語メモ:奪格と出格

奪格=garaと出格=diに関するメモ。=diの用例が手元にないので困っています。

フィンランド語では両方あるらしいので参考程度に調べてみる。

フィンランド語には6つの場所格があり、「位置・起点・目標」と「内部・外部」の組み合わせで成り立っている。

位置・内部は「の中で」、位置・外部は「のそばで」

起点・内部は「の中から」、起点・外部は「のそばから」

目標・内部は「の中へ」、目標・外部は「のそばへ」

意味的には「で・から・へ」と「中・傍/表面」の組み合わせか。「湖」という語に対する例では、内部格が「湖水の中で/から/へ」の意味、外部格が「湖畔・湖面で/から/へ」の意味になるようだ。

「袋から取り出す」という場合にも出格を使う。

6つのうち、起点・内部を出格、起点・外部を奪格と呼ぶようだ。

ここで、日本語の「から」は奪格に近いとされているが、「家から出る」と言ったら「家の中から出る」の意味に多くの場合は理解されるだろうし、「袋から出す」と言えば「袋の中から」だから、フィンランド語との対応でいえば起点格の両方、出格と奪格を併せ持つ格が日本語の「から」と言えるかもしれない。

あと、出身の場合にも出格を使うようだ。大阪出身ならOsakastaといったところか。

となると、与那国語の場合も「の中」ということに焦点を当てた形式として出格が使われているということかしら???

あと、この=diというのは標準語の「で」なんだろうか???

でも、与那国語では「袋から出す」というときはkkuru=di ndan.なのかkkuru=gara ndan.なのか?どちらもあり?手元に文例がない状況では判断できない。