与那国語の発音1:母音

与那国語の3母音

標準語には「あいうえお」という5つの母音がありますが、与那国語には「あいう」の3つしかありません。「え」「お」は語尾や強調して言うときにしか使われません。

例えば

「酒」はsagi(さぎ)と言い、

「酒だよ~!」という時に Sagei! (さげい!) となります。

また、「~だよ」と語尾を和らげる終助詞にdo(どー)というのがあります。

しかし、こうした例外的な場合を除いて「え」「お」は使われないため、与那国語は「あいう」3母音しか持たないと言われています。

 

与那国語の長母音

長母音というのは、伸ばす音のことです。例えば日本語では「樽」と「タール」、「昼」と「ヒール」、「得る」と「ウール」は全て別の単語になり、各々母音「あ・い・う」を伸ばすと意味が変わります。しかし与那国語にはこうした区別はないようです。こういうことを「母音の長短は弁別的ではない」と言っています(弁別的:意味の区別に役立つということ)。

実際には、与那国語には長母音があります。aragu(とても)という語はaraaguと、buru(すべて)という語はbuuruという具合に伸ばして発音されることもあります。しかし、araguと言ってもaraaguといっても、どちらも「とても」という意味で変わりはないのです。