与那国語の動詞8:状況、禁止
活用表の7つ目と8つ目、状況と禁止を説明します。
・状況 ~すれば
接辞はC/YA~UIR/WA(子音語幹)に対して-ba, A/A~US/YA(母音語幹)に対して-ibaを取ります。
以前も書いた通り条件形との違いがいまいちよくわからない(語形は明らかに違うのですが)ので、実際に見られる例文を載せます。前者は文字通りのように読めますが、後者は特に謎です。
(18)b. i ha-iba=du amb-arir-u.
ご飯食べれば(ぞ)遊べる。
*ambun 遊ぶ C/YA
(15) anu=du nn-anu khatarai khir-iba=ndi umu-i,,,
私(を)=ぞ 見-ない ふり すれ-ば=と 思い…
私を見ないふりするのだと思って
*掲載の活用表ではkhir-u-baとなるところですが、典拠の文ではkhir-ibaとなっています。「する」相当の動詞は一つではないようなので、そのせいかもしれません。
出典は前回書いたのと同じです。
(18)b『琉球列島の言語と文化-その記録と継承-』第3部第4章「ドゥナン(与那国)語の簡易文法と自然談話資料」
(15)『琉球諸語と古代日本語-日琉祖語の再建にむけて-』第3部第12章「ドゥナン(与那国)語の動詞形態論」
・禁止 ~するな
C/YA~K/U(Cグループ)では-unnaを、それ以外では-nnaを取ります。
sugudai=nu uyabi=ni nu-nna.
机の上に乗るな。
*乗る nurun UR/WA
ma nd-unna.
もう言うな。
*言う ndun C/YA
ちなみに、中止形+wariで「~してください」、中止形+wannaで「~しないでください」となり、丁寧な命令・命令を作れます。もとの動詞はwarunで、AR/A活用です。
nd-i war-i. 言ってください。
nd-i wa-nna yo. 言わないで下さいよ。