与那国語の格助詞・付属語1
いわゆる「てにをは」の類です。=yaのように前に=を付けて表しますが、これはyaが名詞などの後ろに付くという意味です。
*助詞を太字で表記していますが、アクセントの表示ではありません。
・=ya は
これは「主題」と呼ばれるもので、主語とは異なります。
khari=ya 彼は
nnu=ya 昨日は
・=du ぞ
これは現代の標準語にはありませんが、古語にあった「係り結び」を作る助詞で、また後で説明しますが、=duがある文では後ろの動詞が連体形になります。あえて訳出する必要はないと思いますが、直訳すれば「ぞ」です。
u=ŋa=du これがぞ(これぞまさに)
khari=ya Dunan-ttu=du a-ru. 彼は与那国の人だ。
(彼/彼女は 与那国人ぞ ある)
・=ŋa が
主語の「が」です。
nma=ŋa どこが
tha=ŋa 誰が
*「私が」はa=ŋa、「我々が」はba=ŋaです。
・=nu の
khanu ttu=nu na あの人の名前
khari=nu suŋuti 彼の本
*「私の」はba=ŋa、「我々の」はbaまたはbantaです。
・=nki へ、に
Naha=nki hirun. 那覇へ/に行く。
khanu-ttu=nki ndun. あの人に言う。
・=ni (場所)で/に、(時間)に
=nkiは方向を表す助詞ですが、=niは動作が行われる/存在する場所や時間を表します。
misija=ni khun. 店で買う。
da=ni bun. 家にいる。
unu basu=ni その時に
*「電話で話す」など道具や手段を表す「で」は=siを使います。
・=gara から
出発点(どこどこから)、理由(~だから)、移動手段などを表します。
Unna=gara sutan. 沖縄から来た。
hai-ti=gara nindun. 食べてから寝る。
・=tu と(共に)、AとB
動作を一緒にする相手や、並列を表します。
nda=tu hirun. 君と行く。
uyabi=tu cimu 上と下
*標準語では「と」というと「彼は~~と言った」のように引用を表すことがありますが、与那国語の=tuには引用の意味はありません。引用には=ndiを使います。