与那国語の動詞2:活用パターンとその見分け方(1)

では、活用パターンの分類を紹介し、ある動詞がどの活用パターンに属するのか見分ける方法を説明します。

与那国語の動詞活用表は、前回の記事に紹介した論文に載っていますが、以下のpdfの最後のページにもくっついていますので、参考にしてください。

https://www.ninjal.ac.jp/event/specialists/project-meeting/m-2018/files/20180617_02_YamadaMasahiro.pdf

(与那国語の動詞・形容詞の活用パラダイムと調査・習得の方法:山田真寛)

*ちなみにこの動詞活用表が提案されたのは2016年、上記のpdfは2018年の発表ですから、与那国語の動詞活用を巡る研究はごく最近のものなのです!特に日本語族の歴史の中で与那国語の動詞を位置付ける研究を進める必要があるのでは?と思っています。

・活用パターンの分類と見分け方(命令形から)

さて、活用パターンの分類方法がわかれば、それが自動的に見分け方になるわけですので、分類方法を見ていきます。与那国語の動詞は、グループ>小グループ>クラスという3段階に分かれます。活用パターンを特定するには、クラスを特定すればOKです。

与那国語の動詞の分類は、まず命令形を見るところから始めます。命令形接辞は-iの一種類しかありませんので、命令形はtat-iとかdugu-iといったように、必ず語根-iの形でできています。まずは以下の分類を見てみましょう。

1.-iの前がk, g, ŋ, r以外の子音で終わっているものは、C/YAクラス

2.-iの前がk, g, ŋで終わっているものは、K小グループ

3.-iの前がar, urで終わっているものは、VR小グループ

4.-iの前がirで終わっているものは、IR小グループ

5.-iの前が母音で終わっているものは、Vグループ

命令形のみを見て判断できるのはここまでです。1のパターンはこれでクラスが特定できますが、2~4番は小グループ、5番はグループしか特定できていませんので、もっと調べる必要があります。

次の回で、全てのクラスを特定します。